シコウノイッタン

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【「ミクロ経済学入門の入門」を読んで】 ミクロ経済学はいかに我々の生活に結びついているか

 

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書)

 

経済学に興味はあれど、マクロ・ミクロ、ことあるごとに挫折してきた私。
やはり、あの計算式と曲線がどうにも理解できない。

この書籍は、かなり簡潔に書かれていそうだったので購入してみた。
内容はわかりやすい。非常にわかりやすい。

この本の趣旨は、私のような経済学落伍者の救済にある。
落ちこぼれにも、クロ経済学に興味を持ってもらうための、まさに入門の入門書だ。

ただし入門の入門である以上、これを読んでもクロ経済総体は分からない。
せいぜい様々な用語の意味が分かってくる程度だ。

クロ経済とはなんぞやを本当に知りたければ、この本で学んだ基礎を以って、本当の学問に向きあう必要があるのよね、やっぱり。

入門書としておきながら、難解な書物もたくさんある。
著者はいかに情報を切り捨てるか、執筆にあたって苦心されたことだろう。
でも、そうしたアプローチは、簡潔な文章、少ないページ数と相まって成功しているように思う。

惜しむらくは、構成のいびつさ。
ほとんどが、

「とっつきやすい導入(起)」⇛「それを題材にミクロ経済学の仕組み解説(承・転)」

という構成になっていて、「結」がない印象を受ける。
これが我々の生活にどう結びついているのか、もっと分かると素人として嬉しいなぁと思った。が、これは上記のように削ぎに削ぎ落としている以上高望みなのかもしれない。

しかし、「最適解」「ベルトラン均衡」「ナッシュ均衡」「消費者余剰」「生産者余剰」「死荷重」等々、面白い知識も多かった。

これらの言葉は、思考をしていく上での概念的なものとして、役立ちそうなイメージ。
例えば、「職場において死荷重が発生しないようにする労働力の適切な分配とは」みたいな。

いやいや、適切な分配でいいじゃん。

 

【一読したあとはリリース】