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【石原都政副知事ノート】過激発言に隠れたもうひとつの石原都政

 

石原都政副知事ノート (平凡社新書)

石原都政副知事ノート (平凡社新書)

 

 ひょんなことから本書を読むことになった。
石原都政時代、私は大学生(しかも山梨に住んでいた)~社会人という過渡期にあった。

都政はおろか、国政にも興味がない、どこにでもいる一般人であったように思う。
従って、石原都政のダイナミズムを感じることなく、せっかくの時代の傑物を見過ごしてしまったことに今や後悔もしている。

石原都知事の印象はやはり、メディアを通じて流されるファシスト的な言動が思い浮かぶ

ところが、本書を読むと、そうしたイメージは必ずしも正しくなく、やはり彼は生粋の政治家であり、東京都というマスの未来をきっちり見据えた人であったことが分かる。

その目線は、皆が想像する以上に、自治の目線であり、自立の目線である。ファシスト的な側面が一人歩きし、彼の本質的な思考がうまく大衆に伝わっていなかったことは、政治の難しさを物語っているように思う。

最後に石原氏を表現するに、著者は以下のウォルター・リップマンの言葉を引用している。

「直接的な政治闘争は本能的な知恵、力、証明不能の信仰を大量に必要とし続けるであろう」

「理性はそうしたものを規定することも統制することもできない」

彼はそれを体言していた、と。
細かい技術を紹介するビジネス本も大事だと思うが、こうした大人物の哲学に触れることも重要だと改めて認識した次第である。

 

本書は、非常に面白い一冊だった。
役人の書く文章はとかく読みづらかったり、詰まらなかったりするのだが、この青山やすし氏の文章は上手い。

話の運びがスムーズで、かつ随所にそのエピソードが読者に想起できるような小道具が丁寧にちりばめてある。
最後に著者の肩書きを見ると、作家としても活動しているとのこと。
納得いたしました。


もうすこし行政組織について書こうと思ったのだけど、文章もブレブレで頭がだめなので、また今度にします。気が向いたらリライトしよう。


夏休みの読書感想文でした。