シコウノイッタン

読んだ本や、映画の話など、偏見だらけの話をつらつらと

ワタシの思考(書評)

【書評】『死者の奢り』〜ヒトとそうでないものの間〜

▼人間か、人間以外か。 読みました。 十数年ぶりの大江健三郎です。死者の奢り・飼育(新潮文庫)作者:大江 健三郎新潮社Amazon子どもが風邪ひいてまして。 コロナの影響下で育ったせいか、しょっちゅう熱性けいれんを起こすんです。 親としては気が気でない…

【書評】最終巻『ペリリュー~楽園のゲルニカ~(11)』~もう半額セールだと……!?~

これまで漫画のことはあまり書いていませんが…… 「ペリリュー~楽園のゲルニカ~」最終巻、読みました。内容は後述しますが、一番の問題はkindleセールで全巻半額で売られているという事実!こないだ出たばっかりやん。。ほぼ定額で買ったのに。 とはいえ、…

【書評】『現代語訳 史記』~孔明の罠で原文が読みたくなる~

▼私の青春? 横山光輝小学生の頃、転校したてで、全然友達ができなかったときに、横山光輝作品を読み漁ってました。 『三国志』はもとより、『水滸伝』、『項羽と劉邦』…などなど、横山光輝が私の原点みたいなところ、あると思います。 でも、数ある作品の中…

【書評】『社会保障入門』~身近なようで結構遠い~

社会保障入門 シリーズ ケアを考える (ちくま新書) 作者:周平, 伊藤 発売日: 2018/08/07 メディア: 新書 読みました。 なんとなく漫然と支払っている我々の税金は、いったいどのような形で還元されるのか(もちろん、その使途は社会保障だけではないけど)。…

【書評】『悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える』~100分de名著?

悪と全体主義―ハンナ・アーレントから考える (NHK出版新書 549) 作者:仲正 昌樹 発売日: 2018/04/06 メディア: 新書 読みました。ハンナ・アーレントの思想の概要、それも全体主義についての考察のみを簡単にまとめた入門書です。 以下、備忘録的にやや詳細…

【書評(のようなもの)】黒島伝治『パルチザン・ウォルコフ』『橇』『雪のシベリア』

雪のシベリア 作者: 黒島伝治 発売日: 2012/10/04 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る パルチザン・ウォルコフ 作者: 黒島伝治 発売日: 2012/10/01 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る ▼ソビエトもの小説の大家 ▼作品群に共通するも…

【書評】『公共R不動産のプロジェクトスタディ: 公民連携のしくみとデザイン』〜あなたのすみたいまちはどんなまち?

公共R不動産のプロジェクトスタディ: 公民連携のしくみとデザイン 作者: 馬場正尊,飯石藍,菊地マリエ,松田東子,加藤優一,塩津友理,清水襟子,公共R不動産 出版社/メーカー: 学芸出版社 発売日: 2018/06/08 メディア: 単行本(ソフトカバー) この商品を含むブ…

【書評】『世界システム論講義』~教科書の行間にあった一つの事実

世界システム論講義: ヨーロッパと近代世界 (ちくま学芸文庫) 作者: 川北稔 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/01/07 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (9件) を見る 読みました(久々)。子育てが忙しく、なかなかままなりません。育児休暇を取得…

【書評】『哲学の最新キーワードを読む-「私」と社会をつなぐ知』小川仁志 –現代社会を取り巻く12のキーワード-

哲学の最新キーワードを読む 「私」と社会をつなぐ知 (講談社現代新書) 作者: 小川仁志 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2018/02/15 メディア: 新書 この商品を含むブログ (1件) を見る 公共哲学とは何か? なぜ今、考えなくてはいけないのか? 読みました…

【書評】『世界神話学入門』後藤明~どうして世界の神話は似てくるのか?~

世界神話学入門 (講談社現代新書) 作者: 後藤明 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/12/13 メディア: Kindle版 この商品を含むブログ (1件) を見る 読みました。 世界各地に散らばる神話の異聞を比較していくと、さまざまな共通項が浮かびあがります。時…

【書評】『それでも人生にイエスと言う』V・E・フランクル~君たちはどう生きるか~

それでも人生にイエスと言う 作者: V.E.フランクル,山田邦男,松田美佳 出版社/メーカー: 春秋社 発売日: 1993/12/25 メディア: 単行本 購入: 17人 クリック: 109回 この商品を含むブログ (92件) を見る 読みました。最近、『君たちはどう生きるか』が流行っ…

 【書評】『豊かさとは何か』暉峻淑子 〜短め、書き散らし〜

豊かさとは何か (岩波新書) 作者: 暉峻淑子 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1989/09/20 メディア: 新書 購入: 2人 クリック: 27回 この商品を含むブログ (29件) を見る 読みました。といっても少し前に読んだので、忘れているところもありますが、良書で…

【書評】「今の科学でここまでわかった 世界の謎99 」〜逆にわからなくなる、不思議な読書体験〜

今の科学でここまでわかった 世界の謎99 (ナショナル ジオグラフィック 別冊) 作者: ナショナルジオグラフィック 出版社/メーカー: 日経ナショナルジオグラフィック社 発売日: 2018/01/29 メディア: ムック この商品を含むブログを見る 読みました。私は「ム…

【書評】『不平等論』ハリー・G・フランクファー卜 〜他人の定規で生きていないか?〜

不平等論: 格差は悪なのか? (単行本) 作者: ハリー・G.フランクファート,Harry G. Frankfurt,山形浩生 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/09/12 メディア: 単行本 この商品を含むブログ (12件) を見る 読みました。やや言い回しは難解なものの、言って…

【書評】『忘れられた日本人』宮本常一 ~日本人のタイムライン〜

忘れられた日本人 (岩波文庫) 作者: 宮本常一 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1984/05/16 メディア: 文庫 購入: 49人 クリック: 366回 この商品を含むブログ (218件) を見る 近所に、「クラリスブックス」っていう素敵な古本屋があるんです。 東京 下北…

【書評】『日本軍兵士ーアジア・太平洋戦争の現実』〜排除された現実〜

日本軍兵士―アジア・太平洋戦争の現実 (中公新書) 作者: 吉田裕 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2017/12/20 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 読みました。良書だと思います。私は、今、戦争体験者の記録映像を制作しているので、…

【書評】『科学者と戦争』池内了 ~科学者と平和とは~

科学者と戦争 (岩波新書) 作者: 池内了 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2016/06/22 メディア: 新書 この商品を含むブログ (2件) を見る 読みました。日本の軍学共同研究化が進みつつあることへの警鐘を鳴らす本です。著者は科学の持つ力(使い方を誤れば…

【「スノーデン 日本への警告」を読んで】 現代型パノプティコンへの道

スノーデン 日本への警告 (集英社新書) 作者: エドワード・スノーデン,青木理,井桁大介,金昌浩,ベン・ワイズナー,宮下紘,マリコ・ヒロセ 出版社/メーカー: 集英社 発売日: 2017/04/14 メディア: 新書 この商品を含むブログ (7件) を見る 読みました。キンド…

【「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること 」を読んで】自治体の新しい教科書

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること (講談社現代新書) 作者: 河合雅司 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2017/06/14 メディア: 新書 この商品を含むブログ (13件) を見る 読みました。実に丁寧に、これから日本社会に起こりうることが記述されてい…

【「失敗の本質」を読んで】組織は全然成長しないよ。インパール作戦だよ。

杜撰なインパール作戦とは 失敗の本質―日本軍の組織論的研究 (中公文庫) 作者: 戸部良一,寺本義也,鎌田伸一,杉之尾孝生,村井友秀,野中郁次郎 出版社/メーカー: 中央公論社 発売日: 1991/08/01 メディア: 文庫 購入: 55人 クリック: 1,360回 この商品を含むブ…

【「戦略思考の広報マネジメント」を読んで】広報としてどれだけ社会課題に対して真摯になれるか

戦略思考の広報マネジメント 作者: 企業広報戦略研究所,清水正道, 出版社/メーカー: 日経BPコンサルティング 発売日: 2015/04/02 メディア: 単行本 この商品を含むブログを見る 先日、この放言ブログに、吉祥寺の某ココマルシアターのことを書いたところ、妙…

【「石原都政副知事ノート」を読んで】過激発言に隠れたもうひとつの石原都政

石原都政副知事ノート (平凡社新書) 作者: 青山やすし 出版社/メーカー: 平凡社 発売日: 2004/01/21 メディア: 新書 購入: 1人 クリック: 9回 この商品を含むブログ (9件) を見る ひょんなことから本書を読むことになった。石原都政時代、私は大学生(しかも…

【「仮想通貨とフィンテック: 世界を変える技術としくみ」を読んで】これから私たちのお金が変わる、、、かもしれない

仮想通貨とフィンテック: 世界を変える技術としくみ 作者: 苫米地英人 出版社/メーカー: サイゾー 発売日: 2017/05/25 メディア: Kindle版 この商品を含むブログを見る キンドルオーナーズライブラリーを利用していて、一番困るのが、読みたい本が見当たらな…

【「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?」を読んで】⇐多分、見たであろう。

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229)) 作者: フィリップ・K・ディック,カバーデザイン:土井宏明(ポジトロン),浅倉久志 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 1977/03/01 メディア: 文庫 購入: 70人 クリック: 769回 この商品を含むブロ…

【「ミクロ経済学入門の入門」を読んで】 ミクロ経済学はいかに我々の生活に結びついているか

ミクロ経済学入門の入門 (岩波新書) 作者: 坂井豊貴 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 2017/04/21 メディア: 新書 この商品を含むブログ (3件) を見る 経済学に興味はあれど、マクロ・ミクロ、ことあるごとに挫折してきた私。やはり、あの計算式と曲線がど…

【「ウンコな議論」を読んで】

ウンコな議論 (ちくま学芸文庫) 作者: ハリー・G.フランクファート,Harry G. Frankfurt,山形浩生 出版社/メーカー: 筑摩書房 発売日: 2016/11/09 メディア: 文庫 この商品を含むブログ (1件) を見る 「On Bullshit」がどうしてこんなタイトルになったのかは…

ビル・ゲイツがビッグヒストリープロジェクトを推進する理由【サピエンス全史を読んで】

先日、広島大学の長沼毅教授のビッグヒストリーに関する講演を聞く機会があり、非常に意義深い話を聞くことが出来ました。 ビッグヒストリー われわれはどこから来て、どこへ行くのか――宇宙開闢から138億年の「人間」史 作者: デヴィッド・クリスチャン,シン…

不倫に走る話【「武蔵野婦人」を読んで】

武蔵野夫人 (新潮文庫) 作者: 大岡昇平 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1953/06/09 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 11回 この商品を含むブログ (19件) を見る どうも、今回ばかりは米国と北朝鮮がピリピリしています。こんなしょうもない手記を書いて…