シコウノイッタン

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【雑記】『2001年宇宙の旅』を見て父になることを考える(若干のネタバレあり)

 ▼めっちゃ深い『2001年宇宙の旅』(若干のネタバレあり)


4K/BD【予告編】『2001年宇宙の旅 HDデジタル・リマスター』12.19リリース

先日、ようやく『2001年宇宙の旅』を見ました。

もう何回もトライはしていたのですが、あのスタイリッシュな映像(まったりとも言う)を見るたびにいつも寝落ちしてしまい、なかなか最後まで見切ることができなかったのです。

それにしても、あの映像美は今見ても遜色ないですし、驚くばかりです。
とまぁ、そんな感じで最後まで見たら非常に面白かったのですが、特段キューブリックのファンでもないので、細かい作品の解説は、その他サイト等を見ていただければと思います。

とはいえ、これから私の考え事を書くために、めちゃくちゃざっくり、物語の筋を書きます(何も参照していないので記憶違いがあるかもしれません)。

▼『2001年宇宙の旅』てきとうなあらすじ(ネタバレあり)

①人類が栄える前の時代に、モノリス(石版)が現れ、それに触れることで、猿たちが知恵を身につける。

②ときは進んで未来。月にモノリスが再び現れる。

③ボーマン船長その他クルーが調査に行く。その途中で、スペースシップに搭載されている人工知能「HAL」の反乱にあったりして大変な目にあう。

④それでも旅を続け、ボーマン船長はモノリスに触れる。

⑤知恵の実に触れたことで、超越世界を通り、ボーマン船長は進化し、スターチャイルドに転生。ボーマンことスターチャイルドは地球を見やる。

⑥おわり。

まぁざっとこんな感じでしょうか。

▼人間は誰しもがスターチャイルド

で、ここからが本題。

ちょうど育児休暇の真っ最中に見たこともあって、「親になる」というのは、「あぁ、まるでモノリスに触れてスターチャイルドに進化することだなぁ」と感じました。

子供というモノリスに触れることで、進化する。
そして一段高い視座から世界を見下ろす。
そういう不思議な感覚を、映画を通じてリフレインすることができました。

親になると、今まで見えなかったことがたくさん見えてきます。
わかりやすいところで言えば、お金の問題。
育児の問題。

今なら「日本死ね!」と書いたあの主婦の主張も分かります。
保活とは、そのくらい、暮らしに影響するものだったんだなぁと。
ちなみに、まさに我が家も保育園の問題で揺れています。
考えると暗い気持ちになります。

……とまぁ愚痴っぽくもなりますが、こんな感じで、一人暮らしから、夫婦の暮らし、そして家族の暮らしというように、人生は少しづつ時間の経過とともに複雑みを帯びていくものです。
そして、その折々で視座は変わり、これまで見てきたものを達観する(できる)ようになる。そうした意味で、我々は形象こそ変わらないけれども、「誰しもスターチャイルドである」、という滅茶苦茶に飛躍した結論を、この「2001年宇宙の旅」から勝手に得ました。

▼人間は現状維持できない生き物

いずれにしても、「2001年宇宙の旅」で中心に描かれていたのは、「旧いもの=退化」と「新しいもの=進化」という2軸です。
かつ、その2軸は対立的(善悪)にではなく、どちらかというと不可逆のものとして描かれています。

ステージを上がる(進化)ことは、過去に遡れないことも意味する。
それは人生においても同じで、我々は大小異なりはするけれども、日々、なんらかのモノリスによって啓示を受けています。
つまり、進化は実は機械化されていて、個人の本質(というものが存在するのであれば)は定点に留まることが許されないのです。

ゆえに、人間は進化的存在であって、そのことに自覚的であるべき、というメッセージをこの映画から受け取った気がします。そこにスターチャイルド的な跳躍としての進化があるかは別ですが。


本題を大きく切り返して、映画の論評をして今日は失礼します。