ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか:質を高めるメカニズム【まとめ】
ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか:質を高めるメカニズム
- 作者: 高松平藏
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2016/08/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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エアランゲン市の魅力とは。メモです。
・街を鳥瞰する視点
⇛鳥瞰視点からの地図によるまちの全体像を、政策の中でうまく市民に見せている。
⇛統計等に力を注ぐことで、まちに関する客観的な情報を積極的に提供。
・ダイバーシティの促進
⇛まちの25%が外国人、その差異がまちに動きを生む。
⇛たくさんの言語で書かれたエコバッグを役所の手続きの際に配布。言葉の違いを当たり前のものとして示すとともに、帰属意識を高める。(デザイン感覚の普遍性)
・産官学による連携によるイベント
⇛オープンキャンパスならぬ、オープンドアイベントで、会社や設備を開放。住人の知的好奇心をくすぐる。
・メインストリート
⇛みんなが集うメインストリートがある。ここは、買い物をする空間であり、公園であり交流の生まれる場所である。こうした機能を持つ空間は日本の都市に少ない。
・自転車移動の促進
・市民農園の充実
⇛土地の特性も含む。
・ローカルメディアの充実
⇛パブリック・リレーションズが日本よりも洗練されている印象。一方的な日本に比べ、エアランゲンでは双方向に向う言論の公共空間が整備されている。日本との違いは大きい。
・企業の社会貢献
⇛CSRが日本よりもかなり進んでいる。税制の優遇という面もあるが、良い街を作ることが、結果的に人材や良い環境を生み、それが企業にも還元されてくることをしっている。もう少し突っ込んでいえば、良い環境(まち)を作ることで、労働者の生産効率も上昇する。
こうした循環系のモデルをまちと企業が包んでいる。
・シビックプライド
⇛お国柄、地域性も加味されねばならないが、まちに対する帰属意識は強い。郷土保護のNPOなども古くからある。相互扶助のメンタリティ。
エアランゲン歴史写真館フェイスブック。
まちの歴史に気軽にアクセスできる権利の確保。
市外からもアクセスが集中。
・補完性の原理の浸透(考え方のヒント)
⇛各レベルでの、自治と自己管理能力があって成り立つ。自己管理は権利であると同時に義務である。両者の緊張関係があってこそ成り立つ。
ところが日本では、権利ばかりが先に立ってしまっている。
義務をうまく伝えられていない。(最悪の場合、与えてすらいない)。
総じて、地域性という部分も大きい。シーメンスの本社があったり。
ただし、すべての主体が、街に対する依拠心を持っていることが、連環を生む鍵となっている。これこそがつながりというものだ。
このクオリティループがまちに好影響を呼んでいるのは事実である。
それそれが独立している日本の(一般的な)まちとえらい違いだ。
了
3月29日、立川談笑一門会
半年ぶりくらいに、立川談笑一門会に行ってきました(久々に落語の話ですね)。
初めて生の落語を聴いたのもこの会だったので、思い入れがあります。
この頃仕事やなんや忙しく、気持ちも荒んでいたのですが、たくさん笑って、出ました。
オキシトシン(快楽ホルモン)。
立川談笑さんの「シャブ浜」が聴けて良かった。私は落語の素人ですが、談笑さんの人物描写は本当に息を飲むものがあると思う。
お弟子さんの吉笑さんが、言っていたように、噺家が「そこにある」と口に出したものは、話し手と聞き手で紛れもなく、イメージとして共有される。
その共有感を呼び起こす力が凄まじいのが談笑さんの落語(と、私は勝手に思ってる)。
これからも大事にしたい落語会。
プレミアムフライデーなんて有り得ない期末の金曜日。
【「ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか?」を読んで】感想
ドイツの地方都市はなぜクリエイティブなのか:質を高めるメカニズム
- 作者: 高松平藏
- 出版社/メーカー: 学芸出版社
- 発売日: 2016/08/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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なかなか面白い本で、ドイツのエアランゲン市というまちが、いかに素晴らしいかを紹介する本です。
同社の「ポートランドー世界で1番住みたい街をつくる」と、まぁ似てるような気がします。というか、街の性質そのものに近いところがあるような気がします。
要は、住んでる人が、その街を好きなんですね、エアランゲンにしてもポートランドにしても(ほんとはもっといろいろ要素がありますが)。
ちなみに、私はポートランドには行き、現地を見てきて、その空気感をなんとなく味わってきました。
一方で、日本人は、住んでるとことかに本当に興味がないような印象を受けます。
生まれ育った街には愛着を持ってるのかもしれませんが、基本、「想い」の範疇を出ませんね。愛着を持つだけで、特には何もしない、まさに観念で終わってしまうのが日本人スタンダード。
(想いが歪な形に顕在化したふるさと納税というシステムは、逆に日本人の物質主義、というか節操のなさを良く表していると思います。)
日本人のこの辺の現金さみたいなものは、一体どこで道を誤ったのだろうと考えたくもなりますが、嘆いても仕方ない。
前を向いた話をすると、まちに住んで良かった、というお得感を適切に還元していく必要があると考えます。お得感は、もちろんモノやお金ではなく、心の満足感。
んでもって、満足感がどう得られるかは、実際にみんなに対して問を立ててみないと分かんないわけですね。
ポートランドマンセー、エアランゲンマンセー。じゃ真似しよう! では、いいとこは行くかもしれませんが何処かで瓦解する気がします。
というわけで、本著の内容は、まちづくりの参考とさせていただきます、という解釈に留めておきたいと思います。
ここまで読んだ方には恐縮ですが、私の話には根拠が全くありません。
【「資本主義の終焉と歴史の危機」を読んで】中国は広い海が欲しい
ちょっと前に読みました。
私は以前金融商品に親しい世界にいたが、なんとなく金融工学によって作られる金融商品に常々胡散臭さを感じていた。
本の内容はその胡散臭さを喝破するものなので、アベノミクスだのトランポノミクスだの、なんだかその手の類に疑問を感じる方は読んでいいと思う。
私が金融工学に胡散臭さを感じていたのは、金融工学から派生する金融商品に実物がないからだ。
連動債だのインデックスだの、素人目に見て「ちょっと無理やりじゃね」という商品が当たり前のように取り引きされ、お金を生み出していた。
本の趣旨も概ねそんな具合である。
「これまで平面空間に拡大してきた資本主義が、行き詰まりをみせたため、金融工学を以って立体(3次元)に進出した。(つまり立体とはざっくりいうとデリバティブなどのことである。)
で、その3次元も行き詰まりを見せつつあるので、世界はこれからどう向かっていくのか?」という内容である。
4次元なんてありえない。なんて言い切れないのがこの世界の恐ろしいとこだが、この感じで行くと、なかなかどうして4次元方向への進出は難しそうである。
すると、3次元を無理やり拡張するのか、維持するのか、縮小するのか。そこには世界の政治の力を含めて舵取りをする必要がある。
その方向性を決める場には、世界の富豪、およそ数%の人間しか関わっていないのは歴然たる事実。
残り人類は舵取りの結果と、それに付随して起こる事象を眼前に突きつけられるのみである。
恐ろしや。
落語の話はまた今度。
今週は立川談笑一門会。半年ぶりに行きます!
それでは。
一公務員ひとりごち
まちづくり(何を持ってまちづくりと言うかはとかく)の仕事をしていると、なかなか課題が多くて嫌になることが多い。
正直、あまり合理的に出来ていない組織だし、ミッションも幅広いので、どうも迷走してる感は出てくる。
万人のための仕事は玉虫色になってしまい、往々にして万人のためにならない、というパラドクスが蔓延している。
まぁともあれ人口減少社会である。
どこの自治体も人口減少対策に本腰を入れ始めている。
構造主義を最近読みかじっているので、そんなアプローチから人口減少を見ると、モースの贈与論のように、交換が成立していないから、人口が減ってしまうように思う。
贈っては、贈られる、というサイクルを連綿と繋げていくこと。これがまちづくりの1つの指針になる(気がする)。
価値の提供と、それを送り返すシステムの構築。(システムというよりも信頼関係のような気がするが)
無辜の尽きることない愛情を街に注ぐ人など、そうたくさんはいない。
もっと街を、システマチックに俯瞰しながら、暖かいまちづくりをしていきたい、と末端に立つものとして思う、今日この頃。
まぁ現実は、チョムスキーのメディア、政治批判の通りではあるけど。
Kindleペーパーホワイトのカバーを作ろう
最近の読書はもっぱらKindleに移行しつつあります。
物を増やすなという命により、電子書籍を買っている次第ではありますが。
で、持ち運びの際、液晶を保護するため手帳型カバーをつけているのですが、これがマグネットが入ってたりして重い。
でかくなるし、片手では読みづらくなる。
Kindleの軽量さが台無しです。
ところが良さげなスリーブを探してもあんまり売ってないのです。
なので、作ることにしました。
最初はスリーブにしようと思っていたのですが、手縫いはだるいし、何か面白さに欠けるので、一枚革で「包む」というデザインにしました。
ハトメだけで済むし。。。
そして、電子書籍をブックカバー(のようなもの)で包むという皮肉が効いていて、一人ほくそ笑んでいるところです。
Kindleは背面がラバーコーティングなので、包むだけでも案外滑りません。
しかもどっちからでも入れられて、何かお洒落。
実用新案登録を申請中です(嘘)
それではさようなら。
都民寄席雑記(3月8日西国分寺いずみホール)
都民寄席に行ってきました。
毎年この時期は無料で落語が聞けるので、わくわくしてます。
噺家さんも、無料をネタによく観客をいじります。とはいえ、税金納めてるし、落語の間口を拡げるには良い機会だと考えてます。
最近は寄席も若い人が増えたなんて聞きます(まぁ私も30前半なんで若いと言えなくもないのですが)。
確かに末広亭なんかに足を運ぶと、うら若き乙女が散見されますね。まぁぶっちゃけまだまだジジババばかりですけど(笑)
で、都民寄席はもっと高齢化率が高い。日本の縮図を見るようです。
行政の事業の哀しきかな。アッピールが下手で、若者が知らないんでしょうね。これから東京都文化局の頑張りに期待です。
都民寄席の方はっていうと、
三遊亭笑遊師匠による「片棒」
春風亭一朝師匠の「妾馬」
あと色物さんでした。
多分、お客さんは色物さんが珍しかったみたいで、1番湧いてましたね。
肝心の落語は、最高でした。
片棒は、笑遊師匠のダイナミズムと張りのある声で圧倒されました。
妾馬は立て板に水っていうキレのある内容。
妾馬は笑いの場面が多いですが、八五郎が妹や母を思う場面など、人間の感情の様々が詰まった演目ですね。それだけに難しい内容だなぁとシミジミ感じました。
途中の「殿公」でサゲることが多い大ネタですが、一度フルで聞いてみたい。
以上のように雑記です。