シコウノイッタン

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【雑記】Unihertz Atomを手放した~さよなら世界最小の4G防水スマホ~

さよならUnihertz Atom

さよならUnihertz Atom

【目次】

 

▼Unihertz Atomを手放す

10月に届いたUnihertz Atomですが、手放しました。
使ってなかったからです。やはり所有者をいろいろと選ぶスマホですね。

下記はあくまで私の主観ですが、購入を考えている方の検討材料になれば幸いです。

▼正直使いにくい

Atomを実際に使ってみると、結構普通に文字が入力できたり、想像していたよりは違和感なく使えました。
UIも変なカスタムはかかっておらず、特に問題ありませんでした。

ですがスマホの性質上、打ち損じは多いです。
特に画面の下端の反応がシビアで、文字入力の際は濁点とかを入れるのに苦労しました。
当然、画面も見にくいですし、快適とは程遠かったですね。
体感的には、普通のスマホの1.5倍くらい操作に時間がかかる感じでした。

結果的に「スマホを見る気がなくなる」、というデジタルデトックス効果がありました。

▼Unihertz Atomの良かった点・悪かった点

一応、2週間ほど使ってみて、良かった点、悪かった点を列挙してみたいと思います。

 

Atomの良かった点

  • エッジの効いたデザインとコンセプト→仲間内でドヤれる
  • アウトドア仕様のためか、ライトがめっちゃ明るい
  • 4Gメモリでキビキビ動く
  • いろいろスピーカーから出る音がでかい。そんなに悪くない

▼ Atomの悪かった点

  • 小さ過ぎ問題→打ち間違いは日常茶飯事。GoogleMapとかは老眼には地獄のような光景に
  • 意外と持ちにくい→形状もそうですが、割とサラサラした触り心地でグリップはそんなに効かなかった
  • 電池持ち△→特にアイドル状態で意外と電池が減っていくのには困りました
  • 液晶の解像度悪い→解像度もそうですが、淡い感じの色合いも好みではなかった
  • 液晶はフィルムとの相性悪い→2.5Dのためか、フィルムの端がどうしても浮きます。タフネススマホなので雨天でもガシガシ使えますが、隙間に水が入ります
  • 指紋認証の精度悪い→本当にイライラしました
  • LINEの着信音が変→なぜか、いつも使っている通知音が使えませんでした(仕様?)
  • 暗いところに弱いカメラ→液晶が液晶なので写真を撮る際は画角を確認する程度。パソコン等で見ると、そこそこ普通に取れています。ただ、暗所はブレブレでまともに撮れない。あとシャッター音がとても大きくて、子どもを何回も起こしてしまった。
  • Atomで撮った写真

    Atomで撮った写真1

    Atomで撮った写真

    Atomで撮った写真2

    Atomで撮った写真

    Atomで撮った写真3


▼どんなスマホにも良し悪しはあるものの…

ドナドナドーナー

こうやって見ると悪い点ばっかりですが、目をつむろうと思えばつむれるところでもあります。ただ、やっぱりそれ以上に小さすぎた。リリースの理由はそれに尽きます。

「山で使う」「自転車で使う」とか目的があって初めて使えるスマホですね。
コンパクトかつ使いやすさを考えると、3.5インチくらいが良さそうな気がします(スマホ初期はこんなサイズが多かったように思います)。

所有欲をそそるガジェットではありますが、私には合いませんでした。
でも面白い端末です。こんな遊び心のある端末がもっと増えてくれるといいんですがね。

 

 

【雑記】google Pixel3のカメラがなかなか、すごいらしい。

 

google Pixel3のカメラがなかなか、すごいらしいです。
特に夜景がきれいに撮れるとか。

詳しいことはこちらを見ていただくほうが早いと思います。

Pixel 3の夜景モード(Night Sight)が実装されたので試したら本当に凄かった | orefolder.net

要はカメラの心得がある人が、ブラケット撮影(露出=写真の明るさの違う写真を複数枚撮影)して、Adobelightroomみたいな現像ソフトでうまく撮れているところだけ合成する作業(HDR)を、スマホ本体が瞬時に行っているということのようです。

写真が手軽に綺麗に撮れることは喜ばしいことです。
ただふと思いました。

写真が綺麗すぎるんです。

 

写真って何?

このスマホで撮れる写真って、私達が網膜を通じて見ている実物と同じものなんでしょうか?
言葉は悪いですが、私はこのスマホで撮った写真を見て、ゴテゴテに目を大きくしたJKのプリクラを見るような感覚を覚えました。

なんちゅうか……盛ってね?というような。

 

シンギュラリティは近い

さて、こうした技術が一般に浸透し、さらに進化を遂げた先の写真とはどんなものになるのでしょうか。
最早我々が知覚できない光さえも集められる、荘厳な写真が当たり前になるかもしれません。
はたまた、感性、という人間の感覚を理解したAIが、目の前の風景を我々の情感を揺り動かすような色調に自動修正してくるかもしれません。それは自分で撮る、というよりも提示されるものになります。

このPixelのカメラ機能の進化は、そうした変容に片足を突っ込んだ、ある意味での破壊者だと考えています。つまり、私達が今頭の中に抱く「写真」という概念は、変わるかもしれないということです。

 

デジタルカメラが生まれて、レタッチが可能になった頃からこの手の論争はあったかもしれません。

ただ、レタッチは専門の道具を用意して、知識を持った人がするもの。
ボタン一つですべて行えるようになり、かつそれを意図せず行われる時代に差し掛かっている今、写真というものは、一つの転機に差し掛かっているような気がします。


写真芸術という分野は、まだ機械に代替できないでしょうが、それ以外の技術の部分なんかはあっという間に抜かされそうな気がします。


最近自分の仕事がなくならないかビクビクしてます。

 

【雑記】世界最小タフネススマホ「Unihertz Atom」購入~実用性皆無も男のロマン~

目次

 

クラウドファンディングで220ドルで購入

知っている人は知っている、一部ガジェット好き界隈では話題のスマホ「Unihertz Atom」が遂に納品されました。

先代にあたる「jelly」はバッテリー容量が950mAだったので敬遠しましたが、この「 Atom」は性能がかなり強化されたので、飛びつき買いをした次第です。

開封時のわくわく感がすごかった

箱を開ける瞬間はすごくわくわくしました。

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化粧箱

チープですが液晶保護フィルムとストラップ、USB-Cケーブルなども付属していました。

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わくわく……

動かし始めたら現実に引き戻される

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これまで使っていたP9liteと比べると全然違う


ただ、当たり前ですが使いにくいですね。
もうそれに尽きます。

製造メーカーでもあるUnihertzのサイトのキャッチにも使われているとおり「小さいは正義」なんですけど、正義だからなんでも許されるわけではないのが人生というものです。

小一時間触って気づいた難点は以下の通り。

  1. サイズ感の割に重い(110グラム)
  2. 結構、発熱する
  3. 指紋認証の精度がいまいち(今まで使っていたHUAWEI製品が良すぎたとも……)
  4. 液晶の解像感は初期スマホレベル
  5. カメラも期待することなかれ
  6. おサイフケータイは非対応

といっても2、3以外は殆ど織り込み済みですね。
なので、初めはワクワクしたのですが、だんだん淡々といつもどおりセットアップ作業をしていく自分がいました。

さぁ「Atom」を持ってドヤリングしよう!

iPhoneと違ってAndroid端末は露骨に当たり外れがありますね。
それをアプリなりゴニョゴニョしたりして埋めていくのが正しいAndroidの楽しみ方でしょう。
まぁこの「Atom」に関しては、もうタフネス、風呂でも海でもガシガシ使い倒したり、公衆のど真ん中でさっと取り出しドヤリングするのが正しい使い方なんでしょう。
「俺は人とは違うんだぜ」みたいな(笑)

ゲームしたりとか、頻繁にメールしたりとか、ましてやビジネスに使う人には絶対にお勧めしません。ただ二台持ちなら良いかもしれませんがね。


Z3compactも保険で購入。Atomをどこまで使うかは不透明

私は一台持ちなので、正直この機種をどこまで使うかは分かりませんが、とりあえず楽しみながら使っていこうと思います。
まぁ一応、こんなこともあろうかと、先週秋葉原で特価で5000円になっていたXperia Z3compactを保険で購入しています。

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こんなこともあろうかとZ3compactも保険で購入。4.6インチのZ3と比べてもこの大きさ


おサイフケータイも対応してるし、電池も元気なので、たぶんそのうち乗り換えそうな予感。
この無駄な出費に妻の冷笑が浮かびますが、ガジェットとはロマンなのです。
無論、上述した難点も、難点であって難点ではないのです。

赤子を風呂に入れる時間なのでこの辺で。

男性育休日誌2〜育休に入る前のアレコレ〜

 

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育休取得のアレコレ

というわけで、私は8月~11月の三か月間、育児休暇を取得しております。
あっという間に半分過ぎてしまい、きちんと社会復帰できるか心配しています。

今日は取得にあたってのアレコレを簡単に残そうかと思います。


育休意向は2か月前くらいに伝えて、あとは調整、調整

子どもが産まれる前から、育休を取りたい旨はちょこちょこ会話の中に出すようにしていました。
計算してた、とかではなく本当に世間話レベルのことですが、そういう経緯もあって、実際に取得するという話はかなりスムーズに進んだような気がします。
手続きも、指定の用紙を何枚か書いて、上司にハンコをもらうだけのシンプルなものでした。
ただし、取得に当たっては2か月前くらいから、職場と調整を進めていきました。
人事担当曰く、手続き自体は簡単だそうですが、実際の職務においては、一人穴ができるのはなかなか大変なことです。極力残る人たちに支障ができないよう、出来ることは先回りして休暇に備えました。

正直、キャリアのことは考えた

育休を取得することで、「出世に響く」という想像は、私を結構悩ませました。
もちろん、「育児休暇を取ることで不当な扱いをしてはならない」ということは労働基準法(確か)に定められています(公務員はどうだったかな)。
ただ、現場で一生懸命働いている人間と、育児のために休んでいる人間のどちらを高く評価するか、というと前者を選んでしまうのは人間の心理だと思います。
正直、「同期の面々より出世は遅れるだろうな」とも思ってはいますが、その辺は割り切ることにしました。
まぁ職場の評価なんて元来曖昧なもんですしね。

そういう将来あり得るかもしれない幾ばくかの金勘定を取るか、目の前の子どもと一緒にいれる時間を取るか。どちらを取るかはその人次第でしょうね。

お金がない(休業補償金の振り込みタイミングには注意)!

育休中は、基本的に休業補償が受けられます。
取得日数によっても変わりますが、だいたい、毎月の給与の67%がもらえます。
他は分かりませんが、私の場合、年金・保険も免除なので、住民税だけ毎月支払っています。
なので金回りはそんなに悪くないはずなのですが、補償金の支払いにはだいぶタイムラグがありました。
8月20日から育児休暇に入ったのですが、ちょうど8月20日は給与支給日だったので、8月分の給与(実働日数で割るため、だいたいいつもの半額:仮に20万円の半額10万円とします)が支給されました。
補償金は、8月20日~30日分が、9月末に支払われるというシステムでしたので、8月20日~9月末までは10万円で過ごす羽目に。
しかも9月末に入ってきた金額は8月の残り10日分の支給の67%なので、7万円弱。
8月20日から10月末まで、およそ17万円で過ごすのはちょっと厳しいです。。

キャッシュフローのイメージ

  1. 8月20日:8月分給与(+10万円)
  2. 9月30日:8月分の休業補償(+7万円)←Now!
  3. 10月30日:9月分の休業補償(+17万円)


人によっては、赤ん坊の入院費用や家具家財などの購入費の支払いなどがまとまってくる時期かもしれません(私はそうでした)。

というわけで、メインの銀行口座はちょっと綱渡り状態です。
育休取得の際には、当座のお金にも注意が必要かもしれません。
いろいろ入り用で出費も増えますからね。

(繰り返し)お金を取るか、満足度を取るか

以上のように、育児休暇は、キャリアにも響くかもしれないですし(あくまで想像ですよ)、当面の収入も減ります。場合によっては、生涯年収に響く人もいるかもしれません。断定はできませんが。

そうしたいろいろな材料を秤にかけるなかで、最終的には、自分が「どう在りたいか」を考えることになると思います。

私は、目先のお金よりも、子どもと一緒に入れることを選択してみました。
この選択が正しいのかどうなのか(あと、夫が毎日家でニートみたいに過ごしていることを妻がどう思っているのか笑)は、多分、一生分かんないでしょうね(笑)。

子守りを任されたのでこの辺で。
最近、これを聞かせると子供がよく泣き止むので重宝しています。
おすすめです! 

てあそびうた & ゆびあそびゲーム タブレット (音でる♪知育絵本)

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男性育休日誌〜男もすなる育児といふものを〜

 

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▼3ヶ月の育児休暇

8月中旬から3ヶ月間の育休に入りました。
理解ある職場のお陰で比較的長い期間の休みが取れることは、非常に有り難いです。

もちろん、育休の取得は権利であるので、本来的には自由に取得して構わないのですが。
我々を思わず「有り難い」と思わせてしまう、その「何か」が、男女問わず社会人の育休取得を阻んでいる壁なのかもしれません。

さて、今回は総論として、私の日課と所感を書きます。
日課は大体以下の通りです。

▼私(男性)の育児休暇中の家事ルーティン

・朝6時に起床
・朝7時〜9時ごろ、朝食・洗濯・布団の上げ下げなど部屋の掃除
・ちょっと休憩。
・12時ごろお昼ごはん
・16時ごろに洗濯の取り込み・布団などの準備・お風呂の掃除
・17時にお風呂
・18時、赤ん坊就寝
・21時ごろ、就寝(授乳の関係で早めに寝る)
・以下3時間ごとに授乳+おむつがえ

書き出すとこんな感じですが、合間合間に赤ん坊をあやしたり、抱っこしたり、身の回りのことをしたり、こまごました家事をしていると、一日があっという間です。
ぶっちゃけ、育休に伴い、暇つぶしにPS4でも買おうかくらいのことを考えていたのですが、とてもそんな暇はありません(あとお金も)。

妻は授乳とか、料理とかを担当し、私はそれ以外の家事(赤ん坊の身のまわりのこと、掃除、洗濯、洗い物とか)を担当し、うまいこと負担が五分五分になるようにしています。

▼育児+家事のダブルパンチはまじきつい

一方、もしこれをワンオペでやるとしたら、ものすごい労力です。
特に夜中の授乳で、3時間感覚で起きるのが辛い。
休んではいますが、疲れがあまり抜けません。
一人で物言わぬ赤ん坊と向き合ってると、気持ちが塞がったり、イライラしたりする気持ちもなんとなく分かりました。

この育児+家事労働の大変さは、まだまだ理解が進んでいないような気がします。男性も積極的に、育児というか家事そのものに関わる必要性を、この育休を通して強く実感しました。

恥ずかしいのですが、私も育休取得前は、「妻(女性)は育休で日中時間あるんだから、育児+家事くらいチョロいでしょ」くらいの見方をしていたのですが、全く不適当な見方でした。いや本当に。

▼赤ん坊の成長を見れることは心を豊かにしてくれる

まぁ職場環境とか家庭環境とかによって、どこまで男性が育児に関われるかは大きく異なります。
でも小さな赤ん坊の成長を間近で見られる喜びは、本当に得難い価値があるように思います。
育児休暇取得経験者としては、可能であれば1ヶ月でも良いので、男性も育児休暇を取得することをおすすめします。
頑張って、政府の取得目標である(確か)11%を目指していきましょう!

 

お金はありませんが、私はとても豊かです。

 

お金のこととか、取得の経緯、直面する問題などについては、また今度書こうかなと思います。

 

【書評】『世界システム論講義』~教科書の行間にあった一つの事実

 

 

読みました(久々)。
子育てが忙しく、なかなかままなりません。
育児休暇を取得しており、人よりは時間があるはずなのですが。。。
その話も、今度書こうかなと思います。

さて表題の本です。

『近代は「国」単位で見てはわからない。世界史の見方が変わる!』

どうも元は、放送大学の講義らしく、本の中身も割とアカデミックな内容になっています。
本の帯にはこう書いてあります。
『近代は「国」単位で見てはわからない。世界史の見方が変わる!』


まさにこの通り、国を単位として歴史を見る「一国史」観は、その歴史を正しく伝えていません。
というのも、海洋交易が可能になった近代においては、世界の国々は相互に関りを持つゆえ、単独において語れないからです。
つまり、世界の国々は各個としてあるのではなく、地球(グローブ)において、一つの生態系を構築するシステムの一つにすぎません。
これが本書のいう「世界システム論」です。

そして、このシステム論は、機械論的でもあります。
「A」に対して「B」というアクションを起こすと、「C」という結果になる。
こういう考え方です。

これを、先進国・後進国、という区切りに当てはめてみます。
先進国は何故先進なのか。そして後進国はなぜ遅れているのか。
勤勉と怠惰の違いなのでしょうか。

そうではなく、先進国(A)が、かつて植民地となった国々(B)に対して、搾取をしたから後進国(C)になった。
こういう視点から歴史を再認識するのが、世界システム論です。
(メモ:アメリカ合衆国における白人エリート支配層の保守派を指す造語であるWASP(ワスプ):ホワイト・アングロサクソン・サバーバン(郊外居住者層)・プロテスタント(英語: White Anglosaxon Suburban Protestant)は今なお幅を利かせています。しかし、元を辿ると、そのほとんどがイギリスでくいっぱぐれたどうしようもないクズ(原文より)ばかりであることが本書では分かります。または一つの流刑として、イギリス本土に置いておけない人間をアメリカ大陸で使役し、貿易による収益源とする、という一石二鳥の策も採られたようです。WASPの権威丸つぶれ。これを解き明かすのも世界システム論です。面白い。)

歴史は前後関係、世界システム論は因果関係

我々が学校で学んできた歴史は、文字通り、ヒストリーであり、物事の「前後関係」にすぎないのだと私は改めて感じました。
世界システム論でわかってくるのは、「前後関係」に「奥行き」が加わった「因果関係」です。

「歴史」という大局を見るときに、その行間に埋もれてしまう因果関係の事実。
これを洗いなおす世界システム論はなかなか面白いものだと思います。

考えてみると、「歴史」というテーブルに乗せると、つい因果関係が見えづらくなってしまいますが、我々がリアルタイムで見ているニュースなどは、因果関係の塊ですね。
北朝鮮情勢しかり、政治の派閥争いしかり。

ただ、惜しむらくは、私が歴史が苦手、というところでしょうか。
この本を存分に楽しむには、歴史が好きであることが必要条件な気がします。
購入の前には再考してみてください。
そして、読むとこの書評がいかに的を射ていないかがよく分かると思います。
ええ、斜め読みしました。
ゆえに書評も、本の表面をなぞるのみです。

 

【寸評】その2 『幻の動物王国 悪い奴ほど裏切らない』―現代の人間の消え方「狂ってるのはどっちだ?」―

【とんでもない映画を見てしまった】

『平成ジレンマ』に引き続き、これまたとんでもない映画である。
この映画は、千葉の某地域に住む、棄てられた動物たちをとにかく保護しまくる御仁のハナシである。
ここに綴る言葉は、映像の前ではすべて霞むものである。こんな駄文に時間を費やす暇があるならぜひ本編を見ていただきたい。

ただし、最初に注意喚起だけしておきたい。
まず映像はお世辞にも良くない。手ブレがひどい。
あと、スーパーのQ数が小さく、読みづらいことこの上ない。
加えてディレクターの「○○っすか? マジっすか?ウヒャヒャ」みたいな話し方が若干癇に障る。
その辺りは、全編通して少し気になったところ。

【ホンダさんの一面をご紹介しよう】

さて、幻の動物王国こと、「しおさいの里」を運営するホンダさんは奇怪な人物である。
言ってることもやっていることもメチャクチャなのだ。
棄てられた動物を保護しまくるのだが、そこはどう見てもゴミの山だ。ホンダさんは電気もなく、水道もなく、開け放したワゴン車の中で、犬猫とともにくらしている。
もう、なんというか絵面が凄すぎて、上記の気になる事柄なんて吹き飛んでしまう。

ホンダさんは実業家であり夢想家でもある。
東日本大震災で被災した土地を買い上げ、人を育てる寺を作りたいという。そこでは、飼育している犬が放し飼いになるそうだ。
「私ならできる」と断言する。

ホンダさんは著述家でもある。
保護した犬をまとめた写真集を出版予定である。
(どこの版元かと思ったら、やはり文芸社だった。つまるところ自主出版だ。)

ホンダさんの奇怪さはとまらない。
動物遺棄をなくすには、強い働きかけが必要だと主張する。
その方法が常軌を逸している。

国会の前で、保護した動物の首を順番に刎ねていく。
最後にホンダさんが腹を切り、その腸を首相に向かって投げつける。
そうでもしないと、世間は目覚めない。
「俺はやるよ」と。
そして、このハナシを劇中、二度も三度も繰り返す。

いやいや……

ホンダさんは興奮すると、同じハナシを繰り返す癖があるようだった。私は、若干認知症なのではないかと疑ってしまった。

ホンダさんは御年70を超えている。
しかし日常がサバイバルのようなものなので、病気一つしたことがない、と語る。
心身創建で、見回りにくる警察官とよく相撲をとるそうだ。
そして若い警察官を何メートルもぶん投げるそうだ。

いやいや……

【狂ってるのはどっちだ?byプラテネス

彼の口から語られる全ての話が虚々実々としている。
どこまでが本当で、どこまでが嘘なのかまったく分からない。
そう疑心暗鬼になる頃には、もうこの映画の術中に堕ちていると思っていだろう。

でもホンダさんは本当に狂ってるのだろうか?
動物を棄てる人間と、動物を保護する人間、どちらが狂っているのだろうか?
どちらが正しくて、どちらが間違っているのだろうか?
もし、動物の遺棄という事象が存在しなければ、ホンダさんの持つ鬱屈としたエネルギーはどこへ向かうのだろうか?

ホンダさんを巡る考察はどんどんと深みに堕ちていく。

 


【ここからはネタバレになるのでご注意ください】

 

ホンダさんは突然姿を消す。
心身創建なホンダさんは突然亡くなる。

劇的すぎて言葉にならなかった。

ホンダさんとともに動物たちも姿を消す。

狐につままれたかのような気持ちになる。

ゴミの山だった動物王国は、命の消えたゴミの山になった。


身寄りのないホンダさんの最後は分からないが、それを発見した近所の人が、届け出て、近くの寺に葬られたようだ。
王国の前には「ホンダさんは○○寺に葬られています。詳しくは○○市役所に尋ねてください」と張り紙があり、取材班が最後に役所に問い合わせをするシーンで映画は終わる。

役所は、ホンダさんのことをロクに把握しておらず、ヘラヘラとした応対が視聴者の怒りを煽る、なんとも心がザワザワする終わり方だ。

ただし、一応フォローをすると、上記の張り紙も近所の人が厚意で書いたもので、厳密にはその張り紙の内容は役所は把握していなかったのだろう。そういう意味ではちょっと意地悪だったかなとも思う。


さて〆ます。
第一に、単純に、とんでもない人を取材し、とんでもない映画が出来てしまったな、という驚嘆の感情を呼び起こす映画である。
そして、第二に、現代社会における人の「消え方」、「何が正しくて何が間違っているのか」を考えさせる映画であった。
これは見て損はないと思う。
とんでもない映画だった。